企画の種となる“アイデア”は、身体感覚から生まれてくる。 ~キャリア甲子園2018 特別イベントの講師からのメッセージ~


キャリア甲子園には参加したいけれども、企業から与えられたテーマから、どうやって独創的なアイデアを生み出せばいいのか、よくわからない――そんな悩みを抱える高校生も多いはず。そこでプロの広告クリエーターからアイデアの発想法を学ぶイベントを10月27日(東京)、28日(大阪)の2回にわたり開催します。講師は電通のクリエーターとしていくつもの大手企業のクリエーティブを手掛けてきた小布施典孝さん。今回はアイデア発想法の“入口”を先回りしてお伺いしてみました。

お話をしてくれた方
小布施 典孝
株式会社 電通 第3クリエーティブ・プランニング局 クリエーティブソリューション・ディレクター

商品開発やブランディングといった“企画”を専門とする。


――普段はどのような仕事に携わっていらっしゃるのですか?
新入社員で最初に配属になったのはマーケティング・プロモーション局というところでした。そこでマーケティングとプロモーションの2つの領域の仕事に約10年携わって、5年ほど前からはクリエーティブ局で仕事をしています。

どちらの部署でも、大きな意味で仕事内容は共通していて、基本的には“企画する”ということを担当しています。

企業ブランディング、商品開発、新サービス開発、統合コミュニケーションなど、お題はさまざまですが、いかなる領域においても、何が本質的な課題なのかを見つけて、それを解決するアイデアをつくるのが主な役割。ここ5年ぐらいはクリエーティブ局で働いているので、そのアイデアをCMやWebやPRやEVENTなどに落とし込むところも含め、より統合的な形での仕事に取り組んでいます。

――企画とは具体的にはどのようなことをするのでしょうか?
与えられたお題に対して、アイデアの力で解決策を導いていくのが、企画という仕事です。

ただ、企画という漢字には「企てる」という字が入っているように、ちょっとした遊び心やいたずら心みたいなエッセンスを足すことがとても大切です。相手をどう喜ばせるのか、どう驚かせるのか、相手の気持ちをしっかりと洞察することが重要だと思います。

商品のブランディングであるならば、ターゲットとなる人たちのどのような気持ちを狙っていくのか、そこからしっかりと考えていくことが大切ですし、企業のビジョンづくりであれば、社員の方の気持ちを鼓舞するにはどうすればいいのか、投資家の方に興味を持ってもらうにはどうすればいいのか、メディアの方々が取材したくなるにはどうすればいいのか、色々な人の立場になって、その気持ちの琴線に触れる場所を探し当てにいく仕事になります。

――小布施さんが企画された事例を教えていただけますか?
以前担当した、紅茶の商品開発のときのお話をしますね。広告会社が商品開発に携わるとき、ネーミングやパッケージといった見せ方だけにかかわるパターンが多いのですが、この案件では2年くらいの時間をかけて、商品をゼロから開発する部分から取り組ませて頂きました。

商品を開発するとき多くの企業では商品コンセプトを作ることからスタートして、その上で調査をして進めていくのですが、このときはそうではなく「逆算型商品開発」というやり方を用いました。

普段、長文のコンセプトを読んで商品を買うことって絶対にないですよね。多くの人の場合、何かを買うとき店頭に立って検討している時間はせいぜい3秒くらい。ということは商品の見た目の印象が左右する可能性が高いのではと考えて、従来のコンセプトづくりから始めるやり方を変えて、パッケージづくりからスタートさせる「逆算型商品開発」というやり方にしたのです。

――逆算型商品開発により、どんなアイデアが生まれたのですか?
10人くらいのデザイナーに協力してもらいパッケージデザイン案を思い思いに作ってもらい、それを検証していくということを繰り返してみた結果、カットされたフルーツがポットに漬け込まれている絵に、多くの人が反応することがわかりました。

そこから「フルーツティー」という商品に可能性があるのではないかということになり、通常はティーカップと果物を並べたパッケージが多いのですが、これはポットの中にカットされたフルーツが漬け込まれている絵をパッケージに使いました。

その結果、この商品は、日経ヒット番付にもランクインするほどのヒット商品になりました。

いま振り返ると成功の要因は、おそらく他社が採用しなかった“果物を漬け込んだ画像”を使うというビジュアルアイデアを発見したことだと思うのですが、もっと大きく考えていけば「逆算型商品開発」というやり方を発見したこと自体が大きなポイントになったんだと思います。

何も疑わずにやってきていたやり方から変えてみた。――アイデアというと一見、表に出す表現部分のみと考えがちですが、課題の考え方とかやり方といったところにもアイデアを入れることができるということを示す事例になったかなと思います。

企画とは勉学ではなく身体学。体で覚えていくものだと思う。


――今回の講座のテーマ「プロのアイデア発想法とは?」。テーマに込めた思いを教えてください。
高校生たちにまず伝えたいのは、「企画するとは何か?」ということです。僕の経験から言って優れた企画は方程式から解が見つかることはありません。

教科書を読み込んでフレームとか公式を覚えればどうにかなるわけではなく、企画は実際に自分で立ててみないとわからない部分が多い。

なので、今回のイベントでは高校生に、実際に僕たちが直面しているお題と同じものを出して、その答えを自分で手を動かして探してもらう時間を作ろうと思っています。

――アイデアに関する書籍や資料はたくさんありますが、それはあまり参考にならないのでしょうか?
確かに書籍などに書かれた物事は刺激になりますよね。けれども僕自身、本を読んで得たフレームワーク(構造)からアイデアが生まれたことはありません。企画はすべて、その時々の課題に対して真っ直ぐに向き合うプロセスの中で生み出されるという感覚です。

ある意味、企画って勉学ではなく、身体学だと僕は思っています。たとえば自転車に乗れるようになるのって、なにか説明書的なものを読んだからではなく、乗ってみて初めてコツを身に付けたからでしょう。アイデアも一緒で、何度も打席に立って体を動かしていくうちに、自分の中でどういう脳の回路を使えばアイデアが出てくるのかを身に付けていくものだと思います。

そして、いざ世の中に出してみて、“受けたか、受けないか”という経験を蓄積していくことで、優れたアイデアを絞り出す身体感覚が備わっていくんじゃないかなと思っています。

――アイデアを出すこと、自分の意見をいうことを怖がる人もいるようにも感じます。
失敗を恐れてアイデアを口に出すことにためらいを抱いてしまう気持ちはわかります。でも、やらずに悩むのだったら、やって悩んだほうが、はるかに得るものが多いと思いますよ。失敗をして恥ずかしい思いをしても、その思いをした経験こそが自己を成長させてくれるのだということを忘れないでほしいですね。

高校生にも大いに期待しています。気恥ずかしく感じることはありません。皆さんの自由な発想に触れたいと思っています。

自分らしい正解を導き出すために。


――ちなみによいアイデアを出すには、どのようなことを意識すべきでしょうか?
誰もが規範とするロールモデルが崩れてきている今の世の中は“正解のない時代”に突入しています。かつての正解が今の正解ではない時代だからこそ、多くの人を巻き込んでいける納得解を導くことが大切だと思います。

なので、如何に誰もが当たり前だと思っている前提や常識から疑っていけるか、そしてそのためにも自分の中に湧きおこる些細な違和感に気づける繊細さをもっておけるかどうかが重要な時代なんだと思います。

高校生にとっては難しいように思えるかもしれませんが、これからの時代、社会に出たら、どんな仕事であっても正解のない答えを追いかけることになる。社会人に欠かせない部分を、今の段階で学んでいけるのは貴重な機会だと思います。

――ではアイデアを生み出すためのコツを教えてください。
アイデアは、人の心を動かしたり、感動させたり、驚かしたりするものなので、つまりは予想できる範囲を超えた想定外を如何に導き出せるか、ということになります。

ですから普段から自分が想定外で面白いなと感じたことを一つひとつストックしておくと、後々役に立つはずです。ネタ帳のようなものを持ち歩いて、気になったことを書き留めておくのはお勧めです。

僕自身、仕事の中で過去のストックが活きた瞬間が何度もあります。アイデアは情報と情報の“衝突”で生まれるものだからこそ、普段から情報を蓄積し、如何に不規則な衝突が生まれやすい環境を自分の脳の中につくっておけるかが大切だと思います。

――最後にあらためて今回のイベントに向けての抱負や高校生へのメッセージをお願いします。
アイデアを生み出す力を身につけるには、アイデアを考える打席にどれだけ立つかが大切です。

今回のイベントでは実際に僕が仕事でお客様から頂いているお題に近いものをベースに、考える機会を提供したいと思います。なのでキャリア甲子園のテーマに挑戦する上でもきっと役に立つと思います。ぜひ気軽に応募してください。そして一緒に楽しい機会にしましょう。お待ちしています。


小布施 典孝さんプロフィール
1979年東京都生まれ。2002年電通入社。 クリエーティブ脳とマーケテイング脳の掛け算による両脳発想にて、キャンペーンの企画・制作から、企業や商品のブランディング、新サービス企画、新業態開発、経営ビジョン策定などに携わる。企画のモットーは、「ハードルが高ければ高いほど、くぐり抜ければいい。」。大学時代は体育会系野球部に所属。その時のエピソードなども当日にお話しいただく予定。

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